コジカ。登録番号:不明。母:砂隠れのテマリ。
父:不明(一説によれば木の葉隠れの外交官)。
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BY「ANEMONE」の 草貫かえで さま
「嫌です。ちゃんとした理由を言ってくれないと納得出来ない」
天気の良い午後。最近ではそれが習慣になっているかのように毎日訪れる少女。
結婚したい人がいると言うので、一度そいつを此処に連れて来いと言うと少女は決まってこう言う。
”連れて行くけど、別れたりしないから”
翡翠色の、嘗ての誰かを思い出させるほどに大きくなった少女は、まだ人間の汚さを知らない純粋な瞳をこちらに向ける。頑固で、けれども可愛らしい部分も持ち合わせているこの少女は、実の父親を知らないどころか、母親ともまともに会った事がない。そのせいか、生まれた時から親代わりとなっていた自分は、驚く程に過保護になり過ぎてしまう。彼女の事になると。
きぃっと椅子を回し、彼女に体を向けた。眉間に皺を寄せ、不貞腐れたように口を尖らせたまま彼女は言った。
「風影様は、あの人のどこが嫌いなの?」
嫌いなわけではない。ただ自分より弱い奴がこの少女の一生を背負うということが気に入らないだけだ。いつどこで誰がこの少女を狙うかわからない。もしかしたらもうずっと誰かに狙われているかもしれないのに。
前で手を組み、彼女を見る。相変わらずの仏頂面が覗えるが、瞳は相変わらず希望で満ち溢れている。
毎度の事だ。自分が別れさせたと言っても過言ではない今までの男の事はすぐに忘れるのに、新しい奴が見つかるとすぐに「結婚したい」と言う。結婚というものは自分にとって未知の世界で、興味もなく感心もない。だからか、少女の言う事は理解しがたいのだ。自分は親でもなく、兄弟でもない。唯の少しだけ血の繋がった、叔父に過ぎないのだ。どうしても。
溜息を吐き、また彼女に背を向けた。今日はやたらと天気が良い。子供達のはしゃぐ声が聞こえる。
「ねぇ、風影様。どうして?」
少女はやはりしぶとく、なかなか諦めてはくれない。少女の気持ちは理解出来ないが、もう今やそれも関係ない。もっともっと大きくなった時に。そしてもっともっと、里が安定した時に。自分の目の届くところに置いておかなければ、俺が此処にいる意味がないのだ。
首を横に振り続け、否定をする。そうすれば彼女はいつものごとく、わかったわと渋々この部屋を出て行く。
そのつもりが、一度彼女は扉の前で立ち止まり、振り返った。
「ねぇ、風影様。だったら、交換条件でどうですか?」
背筋をぴんと伸ばし、腰まで伸びた漆黒の髪を揺らした。静かな、静かな部屋に。彼女の声は響き、恐らく扉の外で立ち聞きをしているであろう、カンクロウの気配がした。
「_______木ノ葉に、行かせて下さい」
ほら、例えばそれが、目的のない旅行や唯の観光だったとしても。俺はどうしてもその条件を飲む事が出来ないのは、まだあれから自分でも思うよりも歳月は経っておらず、心が未だに揺れているから。
何故だ?______愚問だが、自分らしさを保つのには最適な問いだ。俺と同じ色の瞳が、揺れる。
「木ノ葉には、逢いたい人がいるから」
それはもう、何年か前の誰かと同じで。否定も肯定も出来ないまま歳月が流れ、そうして今に至るのだから。それはやはり、少女を守る為に全力で否定をすべきなのだ。分かっている。分かっているのだけれど、どうしてもそれが出来ないのは。
守りたい者を知ってしまった自分が唯一表現出来るその方法で、守りたい者を傷付けてしまったから。
(2007.10.12)
我愛羅とコジカたん
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松木さまより コジカまんが戴きました!
皆さまのおかげでサイトが潤っております!コジカ作品をお持ちでしたら、ぜひぜひ砂漠の花に水をやってくださいませ〜
nekotemarin@gmail.comまでお待ちしております☆
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