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コジカ。登録番号:不明。母:砂隠れのテマリ。 父:不明(一説によれば木の葉隠れの外交官)。
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BY あしまだ さま








[写真]







その写真について話そう


「今回もご苦労だった。お前が来てくれると奈良もやる気をだしてくれるから、本当に助かるよ。」
いいコンビだな、と机の上でとんとんと書類を揃えながら綱手様が言った。その横では砂に使いに出たシズネさんの代わりにサクラがいそいそと雑用をしている。
「師匠も、もう少し事務仕事にやる気出してくださいねー。」
「うるさいよ。」
こつんとサクラのおでこを小突いた綱手様を見て私は心を決めた。
今日で終わりにしよう。これ以上この里に触れたら、私はきっと流されてしまう。

「今回が砂隠れの里の外交官として最後の任務になります。」
私がそう言うと綱手さまは眉間に薄い皺を作って、
「聞いてないな。」
「申し訳ありません。」
「何があった?」
両肘を付き組んだ掌にあごを載せた。
黙っている必要などなかった。むしろ、私には助けが必要だったから。
「風の国の大名の次男と、縁談が進んでいます。」
お茶の用意をしていたサクラが湯呑みを落とす乾いた音がした。
「今の風影なら、我愛羅ならそんなことさせるわけが、」
「私が望んだんです。」
これは嘘ではない。私は何度か護衛をした風の国の要人から求婚されている。
だが、きっとこの話はご破算になるだろう。
そして私はきっと上役たちの意に添って軟禁されるのだ。
しかしそのことで我愛羅を矢面に立たせるつもりはない。
私は砂の里の為に生きると決めたのだから。

綱手様の表情がみるみる曇っていく。
「その子はどうなるんだ?」
「…ご存知でしたか。」
「あたり前だ。」
私は手のひらで命が芽吹く場所をそっと押さえた。
「里に置いていきます。我愛羅も、いえ風影様も承知して下さっています。」
「テマリ。」
平然と答える私なのに綱手様の表情は辛そうで、
「本当に、それでいいのか?」
「ええ、決めたことですから。」
泣きたくなる。
「…そん…なの、ない…。」
振り返れば私の代わりにサクラがぼろぼろと涙をこぼしていた。
「最後にひとつお願いをきいていただけますか?」
私は大きく息を吐いた。
「あいつには、伝えないでおこうと思っています。」
「わかった。お前の望むとおりにしよう。」
私はふたりに向かって精いっぱい笑ってみせた。
「今まで本当にありがとうございました。」
もうこれで最後にしようと決めた。


「あ、テマリさーん。」
火影室を出た廊下で明るく響く女の声に私は振り返った。
「ああ、山中か。」
「もう任務終わったの?さっすがー。」
お疲れさまでーす、と弾けるように言って手元のポーチからピンク色の封筒を取り出した。「はい、どうぞ。」
私は訝しげに封筒の中身を取り出した。そこには
「こないだ同期でお花見したんです。あんまりかっこよく映ってないけど、シカマルって写真すっごく嫌いなんですよね。だ・か・ら・うふふ、なかなか貴重な代物ですよ!」
木の葉のくのいちは任務以外では普通の少女となんら変わらない。悪戯っぽく笑う山中を、私は本当に魅力的だと思った。
「いのー!ボクもう先に行くよー。」
「あ、待ってよチョージ!。今から甘栗庵の限定品に並ぶんです。じゃテマリさん、またねー。」
あいつと同じ班だったふたりが仲良く駆けて行く。ふと窓の外を見ると、今日は曇天だというのに新緑の鮮やかな色彩が私にはやけに眩しかった。

その写真の、散りかけた桜の木の下のあいつは、今にもめんどくせーとつぶやきそうだった。



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理想です!
まさしく・・・このあしまだ様の文章が私の理想です!
簡潔で自然で心をギュッっと掴まれる流れるような美しい文章!
読んだあとは動けなくなるほどに心を鷲摑み。
素敵な世界を体感させていただきました。
あしまだ様の文章、すごく好きです(サイト開いて下さったらいいのに・・・)
mims URL 2007/10/28(Sun)02:10:11 編集
mim様ありがとうございます。
読んで頂けただけで光栄ですのに、お褒めの言葉もありがとうございます。
またご縁がありましたら、是非是非ご一緒させて下さいね。
ごきげんよう。。
あしまだ 2007/10/29(Mon)00:07:00 編集
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